2012/08/16
外国人観光客が増加するにつれ、さまざまな課題も出てきています。
では、具体的にどういった問題があるのでしょうか?
- 外国人観光客から見た沖縄
- 観光客受け入れ側の課題
外国人観光客から見た沖縄
こんな経験をした・もしくは場面を見かけたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
■ お店に外国人のお客様が来たが、言葉が分からないので声をかけることもできない。
■ 何か聞かれたが、何と言っているのかわからない。困っておろおろしている間に、お客様はどこかへ行ってしまった・・・
■ 道路や施設での標識が日本語のみの表記で、読めずに迷っている・・・
などなど・・・
この状況が実際に数値となって表れているのが「外国人観光客満足度調査」の調査結果です。
この調査は、沖縄県・OCVBが平成22年度から毎年実施しており、沖縄へ来た外国人観光客の具体的な属性、どんな移動手段でどこへ行って何を買った、などという細かい旅行内容や、その満足度についての調査結果がまとめられています。
調査の中で、下記の9項目について「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階で評価してもらった結果、「満足」と回答した人の割合がこちらです。
(クリックで画像拡大)
※沖縄県・平成23年度「外国人観光客満足度調査」
特に「満足」と答えた割合が少ないのが、「外国語」と「案内表記」「両替の利便性」です。
以下、それぞれに関する回答サンプルをご紹介します。
1.外国語対応能力
「シュノーケリングをしたくて真栄田岬に行ったが、言葉が通じず機材を借りることができなかった。」(香港 30代男性)
「ホテルの従業員は英語が出来なかった。緊急時に陥った際は命の危険を感じる。」(韓国 40代男性)
2.案内表記
「交通標識のスペルや案内文字が違っていたりして、時々迷った。」(アメリカ 60代女性)
「韓国語または英語の観光案内・標識・情報・地図が不足している。」(韓国 20代男性 他)
3. 両替の利便性
「外国のカードを使えるATMがもっと必要だし、それを案内する表示も必要。」(カナダ 30代男性)
「人民元を両替すると所を増やして欲しい、両替が不便、両替所が探せなかった。」(中国 30代女性 他)
「ATMから銀聯カードで現金を下ろせるようにしてほしい。」(中国 30代男性 他)
また、この調査の項目には入っていませんが、コメントの中からは県内のインターネット環境についも不満を感じていることが分かりました。
4.インターネット関連
「Wi-Fiが普及していない。観光地にしたいなら、Wi-Fiの普及は基本のサービス。」(台湾 40代男性)
「沖縄でWi-Fiが使えるところが少なすぎて、いつも外部と連絡を取れないため、とじ込められた感じがする。」(中国 30代女性)
台湾や香港、韓国といったアジアの近隣諸国では、無線でインターネットに接続できるWi-Fi(ワイファイ)の普及率が高く、街のどこにいてもスマートフォンやタブレット端末などでWi-Fiに接続し、自分が欲しい情報をインターネットから即座に手に入れることができる環境が整っています。
特に、わからないことが多い旅行先では情報源をインターネットに頼ることも多くなります。しかし、このWi-Fiが使える場所・施設がまだまだ少な い沖縄では、気軽にインターネットが使えず情報が手に入らないために行きたいところ・やりたいこと・買いたいものにたどり着けなかった、という方も少なく ないようです。
簡単にインターネットにアクセスできる環境があれば、情報を発信する側としてもインターネットを通して集客できる機会が大いに増えますよね!
上記以外のインフラ面では、旅の玄関口として一番最初に利用する施設である那覇空港(特に国際線)について、下記のようなコメントが目立ちました。
5.空港関連
「チェックインや通関など全体的に時間がかかりすぎる、国際線の搭乗手続きが不便だ。」(中国 20代男女 他)
「国際線ターミナルが狭すぎて、便が重なると座席が足りない。改善する必要がある。」(台湾 30代男性)
「国際線空港が小さいし、ショッピングセンターや飲食店がない。」(韓国 50代女性)
5年前までは那覇に就航している国際線航空会社は3社でしたが、ここ数年で7路線10社にまで増えました。
そのおかげで国際線ターミナルの利用者がかなり増え、チェックインの際は長蛇の列ができることもしばしば。
チェックインや出入国審査に時間がかかることや、ターミナル内での飲食やショッピングに関しても選択肢の少なさに不満を覚える方も多いようです。
そのほかにも、次に挙げたような点が外国人観光客を受け入れるにあたって整備が追いついていないと言えます。
以下に挙げたような点が外国人観光客を受け入れるにあたって整備が追いついていないと言えます。
せっかく自分たちが頑張って誘客をしても、来てくれたお客様が不満を抱えたまま帰ってしまうとリピーターにつながりにくいことはもちろん、周囲に「沖縄」自体の悪印象を広めてしまう危険性もあります。
はるばる海外から沖縄を楽しみにお越しいただいているお客様にはもちろん満足いただきたいですし、外国人観光客の不便解消、そして満足度向上はその後の誘致や沖縄ブランドの価値向上のためにも重要なのです。
こうした未だ解決すべき課題は大きいですが、先ほどの調査結果をよく見てみると、「おもてなし」についてはどの国籍でも最も満足度が高いのが分かります。
実際に「外国人観光客満足度調査」でも、
「沖縄でのおもてなしに感謝したい。」(香港 20代女性)
「親切で情熱的で、やさしい気持ちがいっぱいだった。」(台湾 30代女性)
「とても素晴らしい時間を過ごせた。皆とても親切だった。最高のおもてなしをしてもらえて感謝!また、来たいと思う。」(アメリカ 50代女性)
などなど、沖縄でのサービスに感動したという声が多く寄せられています。
これは、「言葉が伝わらない(こともあり)ながら沖縄の人々が観光客の自分たちを温かく迎え入れて楽しんでもらおうと努力している」という気持ちが外国人の皆さんにも伝わっているということではないでしょうか。
おもてなしの気持ちがあれば相手には伝わります。まずは相手に興味を持って、受け入れてみようという一歩が大事なのです。そして、お客様により気持ちのいいサービスを受けてもらうために、また、自分たちがよりスムーズで効率のよいサービスを展開するために、できるだけの準備はしておきたいものですね!
観光客受け入れ側の課題
日頃から外国人観光客の方を実際におもてなしされている皆さんだからこそ感じている悩みも多いと思います。
例えば、
このような実態を一番痛感しているのは受け入れをしている県内の事業者の皆さんではないでしょうか。
こういった問題については、沖縄県・OCVBが実施している「外客インバウンド連絡会」でも県内事業者の方々から挙げられ、話し合われています。
「外客インバウンド連絡会」とは、外国人観光客の誘致と受入体制整備のため関連業界全体で共通認識を持ち、インバウンドに関する情報共有や意見交換を行う場として、県内インバウンド関連業者の方々に参加を呼びかけて実施しているものです。インバウンドに興味がある事業者様なら基本的にどなたでもご参加いただけます。
このように、お客様側と受け入れ側どちらにとっても解決すべき課題がまだあるというのが現状です。
このような課題解決のためには各個人や事業者の皆さんの取り組みが重要となるのですが、それをサポートする事業を沖縄県とOCVBは展開しています。