2013/02/28
今回訪れたのは、那覇港管理組合 (Naha Port Authority)さん。
昨年は「Voyager of the Seas(ボイジャーオブシーズ)」の来港などで、沖縄県内でもクルーズ船の話題が飛び交いました。
という事で、那覇港管理組合さんへお邪魔してきました!!
今回、インタビューを受けてくださったのは、那覇港管理組合・企画建設部・企画室の室長・田原武文さんと主任の砂川美樹さんです。早速インタビューさせていただきます。よろしくお願いいたします!
――那覇港管理組合さんのお仕事について教えてください。
A:那覇港管理組合は、沖縄県と那覇市、浦添市の3自治体によって構成された特別地方公共団体です。昨年(2012年4月1日)に10周年を迎えました。
那覇港は、那覇ふ頭地区、泊ふ頭地区、新港ふ頭地区、そして浦添ふ頭地区から構成され、県外や離島への定期航路のほか、国内・国外からの貨物船、クルーズ船を受け入れています。
貨物については、県内公共貨物の70%が那覇港から入っております。空の玄関口である那覇空港と海の玄関口である那覇港の取扱貨物量を比較しますと、那覇空港が3%、那覇港が97%を占めており、那覇港は県民生活に多大な貢献をしております。沖縄の生活物資のほとんどが那覇港へきているといっても過言じゃないんですよ。
クルーズ船については、2012年は67回の受入で、その中の外国籍の船は47隻、Voyager of the Seas(13万7千㌧)は1回で平均3500名のお客様を運んできました。
昨年は4回寄港しました。Voyager of the Seas 1回の寄港における経済効果は1.37億円と言われています。凄いでしょ?現在、クルーズ市場が活性化していて、受入も活発化しています。
しかし、沖縄県内ではVoyager of the Seasクラスの船を入港させるのがギリギリなんです。今後、更に大きなクルーズ船受入に伴うバース計画について現在検討中です。
これからは、受入に際し国内各港の誘致活動が活発になってきています。切磋琢磨しながら那覇港管理組合も頑張って行かないといけないですね。
――そうなんですね。沖縄の観光、そしてわたしたちのくらしにとって那覇港は大事な存在ですね。では、その他のお仕事は?
A:港以外では現在三重城~波之上ビーチのウォーターフロント整備を行っています。波之上(緑地側)は護岸や周辺の整備を行っていて、今年4月以降、そこでダイビングやシュノーケルなどできるようになりますよ。
BBQもできるスペースもあります。これから、指定管理者の指定を行い、民間のノウハウを取り入れながら、那覇市内で気軽にアクティビティが楽しめる場所にしていきたいと考えています。
今は、4月以降、指定管理者が管理する施設のPRも一緒に行っています。また、三重城の小型船の停泊エリアからはホエールウォッチングの船が出ているので、冬場の目玉として、外国のクルーズ船社や旅行代理店にPRしていますよ。
――なるほど、港だけではなく、その周辺の整備も皆さんのお仕事なんですね!! その他観光客の皆さんへの活動などありますか?
A:クルーズ船が寄港する時には、県内のエイサー団等へ入港時と出港時にパフォーマンスをお願いしています。
できる限り、すべてのクルーズ船に対して行っていますよ。2012年は、Voyager of the Seasの来港時に花火を打ち上げましたよ!!
花火を打ち上げるのは、地域の皆様の協力があってこそなので、本当に感謝しています。皆様の賛同が得られましたら、またやりたいと考えています。
――花火見ましたよ!Voyager of the Seasの光と花火のコラボレーションが本当に幻想的でした!! 乗船しているお客さんも嬉しかったでしょうね!!
ところで、2013年に来港するクルーズ船って決まっているんですか?
A:来港予定の船は決まっています。 SOLAS条約の関係で外国籍の船の来港時はバースへの入域が制限されてしまうんです…ですが、ナハ・シー・パラダイス協議会を通じて定期的に船内見学会や出港時のお見送りへの参加者を募集したりしております。また、大型クルーズ船は市街地からも確認できると思いますので、来港時には見ていただけたらなと思います。来港予定は私共のホームページ等でも掲載しておりますのでよかったら確認してみてください。
那覇港クルーズ客船入港予定 (2013年)
http://www.nahaport.jp/kyakusen/nyuukouyotei2013.htm
――ありがとうございます。チェックしてみます!
SOLAS条約で近くで見るのはできなくても、大きいから高台とかからなら見えそうですね。大きなクルーズ船を受け入れることに関する課題とかありますか?
A:ありますね。最初にお話しましたが、Voyager of the Seasの一回の入港時には3500人の方がいらっしゃいます。その為バスがかなりの台数必要となります。
多いときには約90台も必要になりますが、待機できる場所がないため、昨年はできる限りはバースに入れて、入りきらない時は空港の駐車場をお借りしました。
しかし、これから新ターミナルの建設を行うため、建設時のバス待機場が課題となるので、現在どのようにするか検討を行っています。
現在バスやタクシーが大型クルーズ船用のバースから道路へ出る際には左折しかできないため、国際通りや南部へ向かうには遠回りが強いられています。
そして、クルーズ船の到着が早朝の場合、観光バスの出発と出勤ラッシュの時間帯が重なってしまうため、渋滞で県民の皆様にご迷惑をおかけする可能性がございます。
ですので、左折しかできない部分については、改善に向けて国直轄事業の若狭2号線の整備を進めています。
渋滞回避につきましては、道路交通情報で周知をお願いしたり、警察と連携をすることによって、トラブルを回避しています。
また、クルーズのお客様のバスツアーが観光施設や新都心に立ち寄るときは、一度に訪れるバスの台数も多いので、待機場所の問題もありますね。
あとは、大型クルーズ船のお見送り参加者を募集した際には、公共交通機関でお越しいただくのはどうしても不便なため、マイカーでいらっしゃる方が多いのです。
しかし、最寄駐車場がほとんど無く、この課題の解決も急がれています。
その他、通訳ガイドさんがどうしても足りない際は、他府県の通訳ガイドさんへお願いすることになるのですが、沖縄に精通していないこともあり、どうしても案内が不足してしまう等があるようです。
――たくさんの問題があるんですね・・・。そんな中で、どういった場面でやりがいを感じますか?
A:トラブルや困ったことばかりのように見えてしまうかもしれませんが、クルーズのお客様の表情を見ていると、やっててよかったと思うんです。
皆さんの嬉しそうな表情が私達を頑張らせてくれるんですよ。アンケートとかも行っていて、もちろん厳しい言葉もあります。
厳しい言葉はしっかりと受け止め、嬉しい言葉は、それを励みに、そして嬉しい言葉を増やすために私たちは頑張りますよ!
――さすがです。ところで、先ほどチラッと出てきた新ターミナルとは…?
A:はい。これから、クルーズバースに旅客ターミナルビルの建設に着手し、平成26年4月から供用する予定です。現在、大型クルーズ船のバースに新ターミナルの建設を予定しております。
現在のバースを見ていただければわかるとおり…夏の炎天下や雨天時には、それをしのぐ屋根が今はないんです…炎天下時に体調を崩されたお客様がいらっしゃらなかったことが救いです。
ターミナルビルができれば、炎天下や雨からお客様をまもることができますので。ビル内は案内板の5言語対応を予定しています。
日本語はもちろん、英語・中国語の簡体字・繁体字・韓国語です。枠の大きさが制限されると対応言語は減ってしまいますが、可能な限り、5言語で対応していきますよ。
今、いろいろ検討中ですので、楽しみにしていて下さい。
――それは楽しみです!ここまで、たくさんお話をきかせていただきましたが、今後の目標とか教えて頂けますか?
A:母港化ですね。
母港化というのは、クルーズ船の出港・帰港地になることなんです。母港化をすると、寄港地である時の何倍もの経済効果があるんですよ。
しかし、複数のバースが必要だったり、その他県内様々な部分で連携や協力が不可欠なんです。
現在、〝にっぽん丸〟と〝ぱしふぃっくびーなす〟が短期的に那覇発の那覇着となっています。
空港も近く、フライ・アンド・クルーズの条件が揃っている沖縄なので、是非、母港化を目標として今後取り組んでいきたいですね。
――そうですね!!!ぜひとも母港化してほしいです^^さて、那覇港管理組合さんが考えるおもてなしとは?
A:そうですね、客層に関係なく、満足度の高い観光地としての沖縄づくりではないでしょうか。
見える形としてなら、私たちは、入港時・出港時のセレモニーをおこなっております。いかに、素敵なインパクトを与えられるかというのが重要かもしれません。
また、多くの関係者の協力が必要となりますが、陸上での観光メニューを、同じようなツアーばかりにするのではなく、ルートやメニューを豊富にすることや、観光地等でのお客様への対応力などが必要となってくるでしょうね。
多くの方に満足してもらえるように開発していく。それがおもてなしではないでしょうか。
――OCVBでも満足度調査を行っていますが、満足してもらえる観光地になるという事が本当に大事だと思います。
最後にコラム読者へメッセージをお願いいたします。
A:お客様に満足をしていただける沖縄を目指していくうえで、多くの関係者が協力していくことで、満足度の向上へとつながっていきます。
ですので、沖縄県一丸となって、多くのお客様をお迎えしていく基盤づくりをしていきたいですね。
沖縄県が一丸となって歓迎をしようという形になれば、お客様の満足度が上がる取組みが自然とできると思います!
私達も“Welcome”のココロで多くのお客様へおもてなしをしていきます!
今日はありがとうございましたm(_ _)m
<参考ページ>
はじめようインバウンド!「第2回 空から、海から、沖縄へ訪れる外国人観光客」
http://www.visitokinawa.jp/oin/column/inbound/article/153
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