2014/09/01
韓国観光公社の統計によりますと、今年の上半期までの出国者数は760万5,872人で、対前年同期比5.2%増加しており、このような勢いであれば、年間では史上初めて1,500万人時代を迎えることが見込まれています。海外旅行自由化元年である1989年が、270万人であったことから考えると、経済成長と共に大きく伸び、今は人口の3割ほどが、海外旅行を楽しむほど、生活の一部として定着しました。
私は海外旅行が自由化されて2年後の1991年初めて日本の東京を訪問しました。日本は韓国より25年も先立ち1964年に渡航自由化となって、海外旅行はすでに成熟、本屋の一面が世界各国各都市のガイドブックで飾られていて、数多くの人たちで賑わう姿がとても印象に残っています。韓国では1990年代に入ってから本格的にガイドブックが登場したかと思いますが、日本、米国、タイなど、数も少なかったうえに、内容も主に観光施設を紹介するものが多く、またパッケージツアーが多かっただけに購入する人も少なかったでしょう。以後、旅行経験蓄積と語学力向上で個別旅行が大幅増加し、そのニーズに合わせて、有名なレストランやショッピング、アクティビティなど、各都市ごとの詳細な情報が扱われるようになり、その種類も増えてきました。
沖縄の単独のガイドブックが登場したのは2010年でした。以前は日本や九州地域のガイドブックの端っこに数ページ書かれただけでとても肩身の狭い思いをしていましたが、旅行会社の職員で沖縄好きのパク・ユンシュクさんが大手出版会社のシリーズ刊行物「Just go」の「沖縄編」を出版して大きく話題となりました。
「Just go沖縄」は、作者ご本人がレンタカーを利用して、沖縄の至るところを紹介したもので、反対ハンドルに対する不安感を抑えて、若年層のレンタカー需要を牽引したと評価されています。沖縄観光コンベンションビューローではパクさんにお礼を込めて感謝状をあげて激励をしました。パクさんは「沖縄達人」という個別旅行専門の会社を立ち上げ、ソウルと釜山を拠点に沖縄への送客に慌ただしい日々を送っており、近いうちに改訂版を出版する予定でもあります。
現在、沖縄ガイドブックは5種類あります。ジンエアーの就航やアシアナ航空の釜山定期便など、空の道の整備により、訪沖韓国人数はますます伸びる方向にあり、ガイドブックも旅行客のニーズに合わせて内容が多様化しています。
去った7月は業界初の変わったガイドブックが出版され、話題となりました。これは「ジニのどきどき世界旅行沖縄」という子供向けの童話式のガイドブックであります。作者はなんと大韓航空の専務であるチョウ・ヒョンミンさん。作家ご本人は、一人で海外旅行に出たのは小学校5年の時で、その時の感性で小学校5年の女学生ジニと男学生ジュンを主人公に石垣と竹富を回りながら出会うエピソードを書いたものであります。さっそく韓進観光は、このガイドブック出版を記念し、主人公のジニとジュンが聞かせてくれる沖縄の物語が体験できる旅行商品を造成しました。沖縄観光コンベンションビューローも当然、同商品の造成にあたって下見ツアーを支援しました。
訪沖においては、持続的なプロモーションが実を結び、2006年1万人を突破してから8年後の今年度の1月は月単位では初めて1万人を越した15,000人を記録するなど、毎月のように大幅伸びが続き、渡日韓国人の中で訪沖の伸び率は、断然1位を記録しています。また、市場雰囲気を反映したかのように童話式のガイドブックをはじめ、日本人作者の作品が韓国語版で出版されるなど、ガイドブック市場でも沖縄の発展が目立っています。
今後、トラッキング、自転車、ダイビング、釣り、グルメなど、テーマごとの訴求に積極的に取り組み、東京や大阪のように多様なガイドブックが出版されるよう、沖縄のPRに努めていきたいと思います。
OCVB韓国事務所 所長 夫 龍凡