2014/01/17
今回、取材に訪れたのは、沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課です!
皆さんは、沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課さんが運営している「沖縄観光危機管理情報システム」について、ご存知でしたか!?
このシステムは、多言語で危機管理情報(台風、地震などの自然災害や避難の情報等)を配信しています。今回はこのシステムを担当する沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課の玉元宏一朗さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)
--このシステムについて教えて下さい!
玉元:災害発生時、早急に災害情報を多言語で配信するシステムで、事前に登録した携帯電話ではメール受信が、スマートフォンでは専用のアプリケーションをインストールすることで、アプリからのプッシュ通知を受信することができます。
最大の特徴は、日本語、英語、中国語(繁体、簡体)、韓国語の4言語に対応している点です。また、通常は気象庁からの警報情報を自動的に配信しますが、目的に合わせて手動で追加情報の配信ができること、他にも地域やグループなどの指定範囲を決めた配信も可能となっています。
--なるほど~日本語だけではなく多言語でも情報をゲットできるのですね!
システムを設置した目的、きっかけは何だったのでしょうか。
玉元:きっかけは東日本大震災です。私たちはリアルタイムで地震や津波の被害を生のテレビで見て凄いショックだったと思います。その経験から、ビーチリゾートが多い沖縄で、もし同じように大震災が起こった場合、どのように対応するべきかという危機感から、地震・津波対策として当事業が始まりました。それが平成23年度観光危機管理モデル事業です。
当事業は2つで構成されており、1つは当システムであるIT系の事業です。もう1つは県内でモデル地域を作り、そこで観光関連事業者や防災関係者(ホテル、観光協会や市町村の防災担当、消防署など)の方々でテーマを決め、ワークショップを開き、避難ルート等を話し合って実際に訓練してみるというアナログな取り組みです。現在は9地域が実施しております。そのワークショップの中でよく課題になるのが「ビーチや集落等では防災行政無線が届かない」という点でした。何か起こったのか情報が入らない場合、観光地として対応を準備していても行動を始めるきっかけが無いということになりますので、まずはそのきっかけとなる情報をどのように入手するかが課題となりました。結果、観光地で観光客の近くにいる観光従事者の方々やレンタカーで移動している観光客の方々など、情報が必要な皆様にいち早く災害情報を伝える為の仕組みのひとつとして、当システムの構築を行いました。
--ちなみに災害は地元の人にも観光客にとっても同じことだと思いますが、県の中でも防災危機管理課や観光振興課とどのような連携をとっているのでしょうか。
玉元:県の防災危機管理課とは密接に連携しています。当システムでは利用者が気象庁が発表する警報を自動的に入手できる運用システムになっています。市町村が出す避難勧告などの情報については、市町村の依頼を受けて手動で配信できるようになっています。防災危機管理課や一部の市町村も独自にこのような防災システムをもっていますが、万一、その防災システムが使用できなくなった場合も、私たちが提供するシステムがバックアップとして補うことを想定しています。
--なるほど~。特にメール配信以外の機能はありませんが、GPSやマッピング等を使用していない理由はなんでしょうか。
玉元:非常時にいかに早く第一報を届けられるかを優先している為です。東日本大震災の時、アクセスが集中しネットワークがパンクして必要な情報を届けられないという状態となりました。そういった状態になる前にいち早く第一報を届ける為にあえて、多機能仕様にはしませんでした。
--外国の方々がアプリケーションをダウンロードする際、言語別にダウンロードするのは難しくないですか。
玉元:アプリケーションは、ダウンロードされる時点で多言語の機能を持っていて、利用する端末側で設定されている言語に対応してアプリが起動します。英語設定のスマートフォンであれば、自動的に英語のアプリとして表示します!但し、メールの場合は専用のサイトにアクセスする必要がありますね。手続きは大幅に変わりませんので安心してご利用いただけます。
<登録方法手順>
--それは凄いですね、端末側の設定でダウンロードを自動で読み取ってくれるなんて!外国人の方も利用しやすいと思います!
では、外国人観光客に対して、どのようなPRをしているのか教えて下さい!
玉元:PRはまだまだこれからですが、この事業を行うと発表した際にいち早く反応があったのが、OIST(沖縄科学技術大学院大学学園)からです。こうしたシステムがあれば、ぜひ使用したいということで、ご活用いただいております。また、当サイトのアクセスデータの分析をみると、アメリカ・香港や台湾の方々に比較的浸透しています。今年は英語圏からの登録が伸びていますね。
--では、このシステムの何かエピソード等あれば教えてください。
玉元:このシステムを運用した当初、利用者へ定期的に有益な情報を配信できたら皆さん喜んでくれるかと、観光振興課が所有する公共施設の万国津梁館と沖縄コンベンションセンターのレストランがオープンした情報を配信しました。しかし、その5分後にお電話を頂いたのです。「なぜ災害とは関係ない情報配信をしたのか」という問合せでした。当システムの目的に沿って災害時の対策や観光危機管理のために利用している方からの貴重なご意見でした。今後は、当事業の目的に沿った情報の配信を行い、皆さまにご利用いただくよう努めてまいります。
--現地で情報を入手する以外に活用できる方法はありますか。
玉元:そうですね。当システムでは沖縄の台風接近情報も配信されますが、沖縄県内にいなくても、台風接近情報を入手できますので、観光客はもちろん、ビジネスの御客様や団体旅行の添乗員の方などが事前に対策を考えることが可能です。また、どこの地域にいてもダウンロードできますので、沖縄に滞在していただいている観光客だけではなく、常に沖縄に送客していただいている全国の旅行会社の営業担当の方、修学旅行の行程を気にかけている学校の先生や保護者の方々、沖縄のことを常に応援していただいている世界のウチナーンチュの皆様などが、沖縄の外から沖縄の災害情報をいち早くチェックする、そういった活用もできると思います。
--それでは最後に今後の展望を教えて下さい!
玉元:当面はシステムの目的に沿って災害情報の配信を基本にしていきたいと考えていますが、今後はこのシステムを上手く活用して、観光地として各種営業情報の提供や多言語コールセンター等とのリンクが出来たらいいなと考えています。観光施設や交通機関とも連携していきたいですね。各サービスへのご登録・ご利用は無料となりますので、県民の皆様にもぜひご活用いただければと思います!
沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課 玉元宏一朗さんとチム君
■取材後記
今回の取材で改めて、災害について考えることができました。東日本大震災の経験を教訓にこのシステムができ、沖縄における災害対策に大きな役割を果たしているのではないでしょうか。
災害はいつ・どこで発生するのか誰にも分かりません。しかし、発生した直後にいち早く情報を入手できれば、避難等にかなり有益になると思いました。この機会に皆さんもぜひ、このシステムをご活用してはいかがでしょうか。
≪システムに関する問合せ先≫
沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課
TEL: 098-866-2764
E-mail:aa057137[@]pref.okinawa.lg.jp ※[@]を半角小文字に変更の上、お問い合わせください。
≪記事に関する問合せ先≫
インバウンド戦略推進課
TEL:098-859-6130
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