2014/01/24
はいたい!!
みなさんは 沖縄県・OCVBが行っている「世界に通用する観光人材育成事業」をご存知ですか?
世界水準の観光リゾート地形成に向け、質の高いサービスを提供できる人材を育成・確保するために、民間企業が、自社の従業員に行う研修に対して支援を行う事業です。
人材育成っていうと、なんだか敷居が高いイメージがあったのですが、沖縄そばのお店“いしぐふー”がこの人材育成事業を活用して英語と中国の語学研修をしていると聞いて、興味津々。さっそく取材に行ってみました!
訪れた場所は、おしゃれな雰囲気の外人住宅が立ち並ぶ住宅街。
沖縄そば屋というよりは、まったり時間を過ごせるカフェのような居心地のいい店内で、まずは大将の池原賢さんにお話をうかがいました。
―どのようなきっかけで、人材育成事業のことをお知りになったのですか?
友人が観光人材育成事業の説明会に参加予定をしていて飲食店も支援の対象になるようだから説明会に一緒に参加しないかと誘われたのがきっかけです。
―なぜ、人材育成支援(語学研修)を受けたいと思ったのですか?
沖縄に中華圏から来沖するクルーズが多くなっている中で、私のお店で沖縄そばを召し上がる外国人観光客に対しておいしさだけではなく、安心して食べられる環境やスムーズな対応をすることでまた沖縄に来たいと感じてもらい、沖縄観光のリピートにつながる一役を担えたらと思ったからです。
この店舗にも、最近毎日のように中華圏の方が来店されているのですが、スタッフは中国語がわからない状態で対応しているのが現状です。これからもっと増えると予想される中で、来店した外国人のお客様が自国に戻った時に「沖縄は良かった!」と周りに伝えてもらうためには、僕ら受け入れる側がしっかり対応出来ることが重要だと思うので、そのためにはコミュニケーションがとれるよう語学は必要だと思います。
―語学研修を受講したあと、何か変化が見られましたか?
受講前は、外国人のお客様だとわかった瞬間に不安な気持ちになっていたのですが、語学研修を受けることでその気持ちが薄らいでいる気がします。また、中国語で「いらっしゃいませ」「美味しかったですか」などの声掛けが出来るようになり、台湾のお客様からよくスタッフと写真を撮りたいとのこれまでになかったご要望をいただけるようになりました。恐らくブログなどに掲載するためだと思います。
―今回の語学研修を通してどのような目標設定をされているのですか?
外国人のお客様が来店した際、スタッフ全員が注文を取れてお見送りまで出来るようにしたいです。会話まで行かなくても、対応が出来るくらいの基礎を作りたいと思っています。しっかりした対応ができるまでには時間がかかると思うのですが、今回の研修はそのための足がかりだと思っています。
―語学研修以外にも、自社で取り組んでいる人材育成があるそうですが、どのようなものか教えていただけますか?
新人はまずOFFJTを90時間、OJTを810時間受けてもらいます。事業の遂行から販促や調理・接客など、70カリキュラムくらいやっています。その後も継続して毎週決まった曜日に外部から講師を招いたり、自分自身が講師として勉強会を実施しています。一そば屋では語学を学ぼうとか人材育成するには、なかなか難しい現実があるのですが、スキルアップができる組織づくりが出来ればと思っています。
―人材育成をしようという思いに至ったきっかけは何ですか?
お客様が来店し初めて食べた時、味が美味しいと思っても、何回か食べれば当たり前になるので、お客様に喜んでもらい感動してもらえるおもてなしが出来るスタッフに成長して欲しいという思いから人材育成に取り組み始めました。
―外国人のお客様に対し、語学以外にこれまでに心がけたおもてなしはありますか?
明るく接客するようにしていることと、お客様が嬉しいと思うようなちょっとしたことから出来たらいいなと思っています。また、国内外問わず全てのお客さまに対し寒い日にはブランケットを用意したり、雨の日にはタオルを渡したり、帰り際には傘をお渡ししたり、日々テーマを決めて実行し改善していくことを心がけています。
―沖縄の観光に対して提言や思いなどありましたらお願いします。
中国語や韓国語はまだまだ受け入れ態勢ができていないので、海外の方が不自由しない仕組み作りが必要だと思います。また、沖縄の自然の豊かさに魅かれ訪れる観光客が多いと思うのですが、個人的には、観光資源のひとつとして沖縄そばを食べに行くというカテゴリーが出来ればいいなと思います。
お次は、語学研修を受講している新人社員の稲福光治さんです。どのようなお話が聞けるのか楽しみです!!
―入社されてどれくらいですか?また、これまでにどのような仕事をされていたのですか?
入社してまだ2カ月(取材当時)です。今までホテルのキッチンで5年。また居酒屋など今まで10年くらい料理人として働いてきました。
―こちらで働き始めて一番ためになったと感じていることは何ですか?
独立支援があると知りこちらでの就職を希望しましたが、そばの作り方とは別に、接客方法が身についているのが一番ためになっていると思います。ホテルと違い、キッチンだけではなく接客もしているので、最初はその接客の仕方がわからず怖かったのですが、OFFJTでいろいろな対応の仕方を学んだことで、お客様を感動させるという今まで全く気にした事がなかったことに気付けて良かったと思います。
―採用されてすぐの研修に対して違和感などありませんでしたか?
最初は教材のDVDを見せられているという感覚だったのですが、今は見せてもらっている、チャンスがあるならもっと勉強したいと思います。
―中国語と英語の語学研修を受講して感じたこと、活かせたことがあれば教えてください。
英語は比較的身近な感じで勉強していて楽しいですが、中国語は発音が難しく聞きなれなくて難しいです。また、読み方がわからないので、参考書がないと話せません。でも、先日来店した中華圏のお客様に店長が「シェイシェイ」と挨拶をしたら、それまで英語で対応していた時にはなかった笑顔を返してくれたので、片言でも中国語が話せるようになれたらと思っています。
―語学研修を受講することで、仕事ではどのように活かしたいですか。
英語も中国語も片言でもいいので、外国人のお客様とコミュニケーションを取り、オーダーを頂く際に「わかるもの」ではなく「食べたいもの」を出してあげたいと思っています。
―最後に、将来の夢を教えてください。
もしチャンスがあれば、アメリカで沖縄そば屋を出店したいです。
是非、海外に店舗をだして夢を現実にしてくださいね!楽しみにしています!!
研修の様子も少し見せてもらいました!
この日は英語の研修。ゲームを取り入れた研修を行っていました。
流れとしては、
1.受講者の一人にホワイトボードの前に立ってもらう。
2.講師が、業務で説明が求められそうな単語をボードに書く。
3.座っている受講者がホワイトボードに書いた言葉を知っている英単語で説明する。
4.前に立っている受講者が何の言葉が書いてあるか、説明を元に当てる。
参加者はわいわい楽しみながら、思い思いの単語でヒントを出していました。
実際に業務で使う言葉を、英語で説明できるように作成されたオリジナルのテキスト。
最後は、語学研修の講師をされている周さんとキャサリンさん。
外国人講師のお二人からお話しをうかがいました。
―今回の語学研修のテーマ、及びポイントを教えてください。
キャサリン:スタッフと外国人の方がコミュニケーションを取り、お店で楽しむことが大事だと思うので、語学だけではなく他の国のカルチャーも一緒に教えています。
英語講師:キャサリン先生 中国語講師:周先生
―どのような研修を行っていますか?
キャサリン:まずは単語を覚えてもらっています。次に自己紹介などの発表時にイントネーションを訂正しています。
周:楽しく勉強しないと身につかないので、ゲームを取り入れて楽しく専門用語を覚えられるようにしています。
―外国人の視点から気付く沖縄観光の不足点や改善点はありますか?
キャサリン:電車や地下鉄がないことにびっくりしました。でも、都市部の人たちは「ファームステイ」とか好きなので、自然を体験できるような施設や「三線」を弾いたり「沖縄料理」を作る一日体験がもっとあればいいと思います。
周:沖縄経済の柱の一つと言われている観光ですが、2012年は外国人観光客が約38万人来沖しているし、沖縄県の政策として2020年には200万人の受け入れ目標を立てています。今後外国人の個人旅行者がもっと増えてくると思うので、受入対策が課題になると思います。沖縄と外国人の窓口となる通訳案内士及び観光施設を含めた企業の人材育成がさらに必要になると思います。
お客様に喜んでいただくためにも人材育成が必要だという思いで日々仕事に取り組んでいる大将の池原さん、おもてなし向上委員に認定!
“いしぐふー”のみなさんありがとうございました。
■編集後記
これまでの沖縄そばのお店にはなかった取り組みをされている大将の池原さん。
「沖縄そばを食べに行く」ことが観光資源になりうると考える高い志と、お客様に感動を与えるおもてなしの気持ち、スタッフの成長を願い人材育成に取り組む姿勢に、沖縄観光の更なる発展の可能性を感じました。
【いしぐふー】(http://www.ishigufu.jp/)
“いしぐふー”の「沖縄そば」は、アグーだし・手もみ麺・かつお節などこだわりの厳選材料を使用し、食材から器に至るまでみなさんに満足して頂ける、沖縄そば屋です。
取材場所:鶏そば屋いしぐふー(http://www.ishigufu.jp/shop/minatogawa)
〒901-2134 沖縄県浦添市港川2-13-6 カンサスストリート40番
Tel. 098-879-7517
営業時間:午前7:30 – 午後5:00
定休日:毎週月曜日
「世界に通用する観光人材育成事業」の詳細については下記URLをご参照ください。
http://jinzai.ocvb.or.jp/top/
*平成25年度の人材育成支援事業の受付は終了致しましたが、次年度以降の支援事業に関しては、随時お知らせいたしますのでOCVBのHPよりご確認ください。
≪取材・構成・本件に関する問合せ≫
OCVB海外事業部インバウンド戦略推進課 花笠マハエ、田里、山城、大底
インバウンド戦略推進課 TEL:098-859-6130