2012/08/30
実際に、外国人観光客の取り込みをしよう!と思った時、何から始めてどのように行っていけばいいのでしょうか?
- 外国人観光客の動向を知る
- 情報を準備する
- 情報を発信する・営業活動を行う
外国からやってくる観光客の旅行形態にはいくつかのパターンがあり、それによっても観光客の行動パターンが異なってきます。まずはどのようなスタイルがあるのか見てみましょう。
外国人観光客の動向を知る
1.団体ツアー
まとまった数の旅行客が同じ行程で一緒に行動する旅行。
数名~数百名規模の団体がある。ほとんどの場合、旅行会社が宿泊施設や航空座席、食事場所などをまとめて手配する。
[ この形態が多い国|中国、台湾、東南アジア ]
2.観光付きパッケージツアー
個人単位など少人数で行動できるが、観光地の訪問などが組み込まれている旅行。
旅行会社が決まった旅程を商品化して販売していることが多い。
[ この形態が多い国|台湾、香港 ]
3.フリープラン型パッケージツアー
宿泊施設や航空座席のみをパッケージ化して販売し、滞在中は自由に行動できる旅行形態。
すでに主な観光地等に足を運んだことがあるリピーターの方に多い旅行形態。
[ この形態が多い国|香港 ]
4.個人旅行
旅行者自身で旅行プランを立てて、航空券や宿泊施設の手配を行うスタイル。
旅行会社を通して手配することもあるが、インターネットなどを通して全て旅行者自身で行うこともある。リピーターや、欧米の旅行者に多い。
[ この形態が多い国|韓国、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ロシア ]
また旅行に関して、興味がある分野や情報収集の仕方にも国ごとに特色があります。
北米 | 欧州 | 東南アジア | ロシア | オーストラリア | |
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ビザ必要の有無 | 90日以内なら不要 | 不要 (日数は国により異なる) | ・シンガポール (3ヶ月以内不要) ・タイ(必要) ・マレーシア(必要) ・インドネシア(必要) | 必要 | 90日以内なら不要 |
旅行スタイル | ・個人旅行が多い ・東京、京都等他の日本の主要都市と組み合わせた場合も多い。 | ・個人旅行が多い ・ハネムーン ・東京、京都等他の日本の主要都市と組み合わせた場合も多い | ・団体、観光付き パッケージツアー多し ・周遊型 ※食事等イスラム教文化への配慮要 | ・個人旅行 | ・個人旅行が多い ・東京、京都等他の日本の主要都市と組み合わせた場合も多い |
興味があること | ・手付かずの自然 (慶良間、八重山等) ・歴史文化(精神文化含む) ・空手 ・健康長寿(食) ・ダイビング | ・手付かずの自然 (慶良間、八重山等) ・歴史、文化 ・空手 ・健康長寿(食) ・大型リゾートよりもこじんまりとした宿泊施設(民宿からブティックホテルまで) | ・グルメ ・ビーチよりも都市型観光 ・歴史、文化、体験 | ・年中泳げるビーチ ・空手 | ・ダイビング ・エコツーリズム ・自然・文化体験 ・食 ・民宿 |
情報収集の方法 | ・インターネット | ・インターネット | ・インターネット | ・インターネット ・旅行会社 | ・インターネット ・旅行会社 |
旅行のピーク | ・夏休み (長期休暇の傾向) | ・夏休み (長期休暇の傾向) | ・夏休み ・タイ(4月ソンクラン(タイの旧正月)、10月) | ・夏休み (長期休暇の傾向) | ・冬(オーストラリアの夏休み) (長期休暇の傾向) |
台湾 | 香港 | 中国 | 韓国 | |
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ビザ必要の有無 | 90日以内なら不要 | 90日以内なら不要 | 必要(数次ビザ該当) | 90日以内なら不要 |
旅行スタイル | ・団体、観光付きパッケージツアー多し ・滞在日数が短い ・那覇市内シティホテルの滞在が多い ・短期間で多くの場所を回る周遊型 | ・観光付きパッケージツアー、個人旅行多し ・レンタカーの利用率が高い ・沖縄への入域外国人観光客数上位4地域のうち、滞在日数が最も長い | ・家族親戚のグループ旅行や団体ツアーが多い ・県内での移動は貸切バスと一般タクシーの利用率が高い ※レンタカー利用不可 | ・個人旅行が多い ・レンタカーの利用率が高い ・保養型旅行が多く、滞在費や料理にお金を使う |
興味があること | ・ショッピング (医薬品、化粧品) ・食(日本食を想定していることも多い) ・温泉 ・サイクリング ・フォトウエディング | ・ショッピング ・グルメ ・マリンレジャー ・リゾートウエディング ・歴史、文化 ・祭り(エイサー、綱引など) | ・ショッピング (高級ブランド、電化製品、化粧品) ※銀れんカードを活用 ・温泉 ・日本食 ・自然、海 ・ダイビング、マリンレジャー | ・ダイビングやゴルフ ・ドラマやミュージックビデオのロケ地としてロケ地めぐりツアーなども人気 |
情報収集の方法 | ・友人、親類のすすめ ・旅行ガイドブック ・インターネット | ・旅行ガイドブック ・雑誌 | ・友人、親類のすすめ ・旅行会社のすすめ ・旅行ガイドブック | ・インターネット |
旅行のピーク | ・夏休み ・春節(旧正月) ・定期クルーズ船は春から秋にかけて | ・夏休み ・春節(旧正月) | ・夏休み ・国慶節 (10月) ・春節 (旧正月) | ・冬(主にゴルフ) |
※参考:「平成23年度 外国人観光客満足度調査」
※表:OCVB 海外事業部 作成
以上のように、国によっても支持される旅行形態が様々です。
旅行のスタイルが異なると、誘客をするためにどのようなアプローチをするかも異なってきますよね。
これらの情報を踏まえ、自社のサービスや商品が、どの市場をターゲットにして、誰に利用・購入してもらいたいかを明確にしましょう。
今自社が提供しているサービス・商品がどの市場で売れるのか、また、どこをどうアレンジすればさらに受け入れられるのかを分析し、アピールの仕方もそれにあわせて効果的に行えるようにしたいですね。
情報を準備する
実際に誘客活動を始めるためには、商品やサービスを説明するパンフレットやWEBサイトなどが必要となります。
これらの宣伝ツールを多言語化することが必要とされてきますが、その際、日本語版のパンフレットを単に外国語にするだけでなく、内容もそれぞれの市場の特色を考慮し、ターゲットにあった情報の掲載をするなど、ツールそのものの構成についても視点を置いて作成することが重要です。
直に会ってお話することができないお客様に対しては、皆さんが作成した宣伝ツールが唯一直接お客様の手元に届く情報源です。その情報でお客様の興味をつかむことができるかどうかが左右されるのですから、内容やデザインにも工夫を凝らしながら、効果的なツールにしたいですよね。
また、お客様が訪れた際にスムーズな対応ができるように施設内表示に外国語表記を加えたり、記号化するなど、受入時の準備もあわせて進めることが求められます。
情報を発信する・営業活動を行う
お客様を呼んでくるためにアプローチする方法も、様々な手段があります。
ここでは、お客様に直接アピールする方法と、旅行商品を販売する旅行会社に対するセールス活動に関して一例をご紹介します。
【観光客向け】
・自社WEBサイトの多言語化・内容強化
※「県内事業者向け翻訳支援事業」も是非ご活用ください。
・海外で放送・発行されているメディアに取り上げてもらう(テレビ、新聞、雑誌、ガイドブック等々)
・外国人向けの雑誌・WEB媒体等を発行・運営している会社にアプローチする
・SNS等を活用した宣伝
【旅行会社向け】
・県内インバウンド旅行会社に対してセールス活動を行う
・FAMツアー等で来沖した旅行会社との商談会に参加する
・オンライン旅行会社に対してセールス活動を行う
・海外への直接営業活動(旅行博出展、旅行会社訪問等)
※沖縄県、OCVB、日本政府観光局(JNTO)等と連携した営業活動も可能です。
「海外セールスコール支援事業」も是非ご活用ください。
官民一体となり、オール沖縄で外国人観光客の誘致に取り組んでいきましょう!
これまでお話ししたように、県内にいながら始められる営業活動も多々ありますので、ターゲットにする市場への理解を深め、発信すべき情報を準備して効率的な誘致活動を行いましょう。
沖縄県・OCVBでは、前回ご紹介したとおり様々な誘致活動を行っています。OCVBの媒体(外国語WEBサイト、パンフレット等)、メディア招聘、広告・広報事業、旅行会社招聘、商談会、旅行博出展などを是非ご活用ください。
また、その他インバウンドに関わる事業の機会をOCVBからも皆様に情報配信ができるよう、「外国人観光客の誘致を始めた、始めたい」という方は、是非OCVBや貴社所在の市町村、観光協会、商工会等へ情報をご提供ください。
さて、こういった誘致活動が奏功し、外国人観光客がやってきたときに、「コミュニケーションが取れず、対応ができない!」といった状態に陥らないために、同時に進めていかなければならないのが「受入体制の整備」です。
この受入体制に関しても、各国の旅行スタイルや文化、慣習などを理解しておけば慌てることなく冷静な対応ができます。
次回はその「外国人観光客の受入」において、どのような準備が必要かを見ていきましょう。