2012/10/19
沖縄といえば、青い海、サンゴ礁、色とりどりの魚たち。
ダイビングは、外国人観光客にとっても魅力的な観光メニューの一つ。
第3回目は、沖縄本島と阿嘉島でマリンレジャーサービスを展開している「マリンハウスシーサー那覇店」を訪ねた。
近年、海外からの観光客受け入れに力を入れている同店の斉藤さんとTeeさんにインタビュー!
◇◇◇◇◇
(写真右から)
・斉藤さん (営業部所属)
終始ニコニコと笑顔を絶やさずゆっくりとわかりやすく話してくれた。
・TEEさん (営業兼インストラクター)
マレーシアから沖縄の海に惹かれてやってきた外国人スタッフのひとり。英語・中国語・広東語・マレー語に対応している。
――こんにちは~!今日はよろしくお願いします。早速ですが、店舗の紹介をお願いします!
(斉藤)『SEASIR』という社名は、海の「sea」と英語で敬意を表する称号「sir」を合わせ、<海に敬意を表する>という意味を込めてネーミングされました。
海を愛するすべてのお客様を、感動と幸せへと導くプロフェッショナルサービスを提供すること、そして世界で一番愛される企業でありたい。これらが全てのスタッフの考えであり、シーサーの心です。 そのため近年では、海外からのお客様に対応できる多言語化に力を入れています。それが私たちの強みです。
―― ん~なんともすてきなネーミング。沖縄の海を愛してやまない気持ちが伝わります!!
――多言語対応のため、外国人のスタッフも積極的に雇用されているんですよね。
(TEE)はい。1年を通して2名の外国人スタッフが対応しています。夏場のシーズンには香港、台北、韓国から合計5名のスタッフを採用しています。私も、沖縄の海に惹かれて、3年前にマレーシアからやってきました。
――沖縄での生活はどうですか?
(TEE)沖縄は料理も美味しいし、とても住みやすいですね。ただ、飲食店などのメニューがわかりづらいです。写真と値段だけの簡単なものでもいいから、文字以外でメニューがあるといいのですね。実際、お客様からもそんな話はよく聞きます。外国人は料理にどんな素材(食材)が使われているのかを気にする方が多いんですよ。
――むむっ!飲食メニューや紹介パンフレットなどの多言語対応の重要性を再認識!!OCVBでは、県内事業所向けの翻訳支援事業という支援もあるので、是非活用してくださいね!
――実際に海外からのお客様はどのくらいいらっしゃいますか?
(斉藤)日本人のお客様に比べるとまだまだ数は少ないのですが、海外からのお客様は年々確実に増加しています。昨年は年間で400名近くでしたが、今年は現時点ですでに約750名のお客様をご案内しました。
香港からのお客様が圧倒的に多いのですが、最近は中国本土や台湾からも増えています。特に台湾からのお客様は、昨年に比べて3倍近くの伸びなんですよ。
――夏場のトップシーズンはもちろんのこと、1~3月のオフシーズンも海外からのお客様は着実に増えているんですね。(注1)(注2)
――今回、「尖閣問題」や「竹島問題」が大きく報道されましたが、影響はありますか?
(斉藤)尖閣や竹島の問題によるキャンセルは今のところありません。 それよりも毎週のように週末にやってくる台風によるキャンセルが多く頭が痛いところです。
(TEE)ほんとに台風は悩ましい問題です。今年の台風はすべて集客の多い週末にやってくるし・・・。
――やはり、政治と観光は別の問題!! それにしても今年の台風は勢力も大きく大変な被害をもたらしました。 自然の力には逆らえませんが、悩ましい問題です・・・。
――海外からのお客様の予約方法は?人気の体験メニューは何ですか?
(TEE)ホームページが英語と簡体中国語で対応しているので、やはりネットからの予約がほとんどです。外国語専用ダイヤルも設けているので、空港などの観光案内所や、ホテルからの紹介も多いですよ。
メニューでは、体験ダイビングやファンダイビングの問い合わせもありますが、予約が多いのはスノーケルですね。 冬場はホエールウォッチングの予約も増えています。
海外にも有名なダイビングスポットは多数ありますが、沖縄の海の特徴はポイントが広くてバリエーション豊富なところ。ポイントによっていろんな顔を見せてくれるのでリピーターも多いのです。
――なるほど。お客様の好みや技量に合わせてダイビングポイントを選べるから、沖縄の海は何度来ても楽しめるんですね!!
――多言語対応の強化とともに、海外への営業にも取り組んでいるそうですね。
(斉藤)雇用のほかに、OCVBで実施している海外セールスコール支援事業も活用し、海外への営業活動も実施しています。 旅行会社や航空会社向けの支援事業が多い中、観光従事者の私たちも利用できるこのような支援はとても助かります。
今後も、海外での旅行博覧会やダイビングエキスポに積極的に参加し、沖縄の海をもっともっとアピールする予定です。
私たちの課題でもありますが、マリン関連事業者に関しては、個人経営の小さなショップも多く、外国人の受け入れ整備はあまり進んでいません。またダイビングの安全性の点からも外国語対応は重要な問題ですが、外国人を雇用したくても金銭面で厳しくて対応できないという話は良く聞かれます。
なので、このような面での支援事業を今後も期待しています。
(TEE)あと、次のセールスターゲットとして、現在はシンガポールを考えています。シンガポールの方は良い意味での負けず嫌いな人が多いんですよ。たとえば、友達が沖縄の海に行ったと聞けば、じゃあ、私も行かなきゃ!とすぐに予約する・・・そんな人柄なんです。 おもしろいでしょ?だから、どんどん口コミで広がっていくんです。
――ダイビング業界のインバウンドの課題として感じていることはありますか?
(TEE)そうですね。実は、残念ながら海外では沖縄の海の素晴らしさはあまり知られていません。もっと幅広い情報の発信が必要です。海外ではよく、「沖縄の海では何が見れますか?どんな魚が泳いでいるのですか?」という質問を受けます。例えば、有名なカメラマンに沖縄の海を撮ってもらうとか、作家さんに長期滞在してもらい沖縄を題材に作品を描いてもらうとか・・・。海のPRが少なすぎる気がします。
あと、沖縄の人がアイデンティティーをもって、ただ海がきれいということではなく、他との違いを広く伝えなければならないと思います。
あ~~っ・・・海外でのイベントにも参加する機会がありますが、沖縄のブースをもっと目立たせてほしい!!特に、外国人は“特別感”を求めているので、ここは何だろう?と目を引くような・・・。 沖縄のブースはシンプルすぎると感じます。
――沖縄の人自身が地元の海の良さを知ること、とても大事な事ですね。
――最後に、県民一人ひとりができる「インバウンド」とは何だと思いますか?
(斉藤)サンゴや魚の数が年々減少しているのも事実です。海外のお客様を迎えるためにも、表情豊かな沖縄の海を守っていくことも考えていかなくてはなりません。
私たちはサンゴの保護活動にも取り組んでいます。オニヒトデの駆除はもちろんサンゴ基金への寄付や、お客様と一緒にサンゴの移植も行っています。植え付けたサンゴも少しずつ成長しています。実は、海水浴ではかかせない日焼け止めクリームも、サンゴの白化現象の原因のひとつなんです。そのため私たちはラッシュガードの着用を呼びかけています。
これらの活動で沖縄の海が劇的に変化するわけではないが、県民ひとりひとりの意識改革が重要だと思いますね。
◇◇◇◇◇
〈取材後記〉
取材中も笑顔を絶やさず丁寧に答えていただき、温厚な感じがとても印象的なお二人。お客様から「また来るねー!!」というお声が多いのも納得です。笑顔は世界共通のおもてなしですね!
環境保護の活動もインバウンドに繋がる重要な取り組みの一つ。世界に誇れる豊かな自然があるからこそ、沖縄へ訪れる方々を魅了しているのです。
それを支えてくださっている企業、個人の方々の努力に本当に感謝です。人と自然を思いやる気持ちが溢れた沖縄を目指して私たちも頑張らねば!貴重なお時間どうもありがとうございました! (リポート:インバウンドおもてなし向上委員 マハエ、親里、山田)
![]() | 【マリンハウス シーサー】 (株)シーサー 営業部 |
◇◇◇◇◇
(注1)海外からの観光客取り扱い数:2011年(1月~12月)は391人。2012年(1月~9月)で775人。
(注1)2012年 国別取扱数
香港 | 台湾 | 中国 | 韓国 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|
271 | 90 | 192 | 33 | 189 |
(注3)2012年 外国人が利用するメニュー別取扱
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