2015/01/22
(マハエ)ハイターイ!皆さま本年も「おもてなし向上委員会が行く!」をどうぞよろしくお願いいたします。2015年第1回は、外国人観光客に人気の国内外ブランド103店舗を構える沖縄アウトレットモールあしびなーさんにお邪魔しました。2014年10月からの消費税免税対象物品の拡大にも対応し、免税での販売も絶好調!とのこと。今回はその秘密を始め幅広いインバウンドへの取り組みについて迫ってみました。
あしびなー入口とマハエ
(マハエ)本日は、沖縄アウトレットモールあしびなーの営業課でチーフを務める高良馨さんにお話を伺いました。高良さんは、2005年に沖縄で開催された国際会議(IDB)の運営事務局やOCVBで外国人観光客誘致活動の経験を積まれ、現職勤続8年目になります。早速ですが、あしびなーへの国別の外国人観光客数を教えてください。
(高良さん)2013年4月~2014年3月の外国人観光客が団体バスで来られた実績は、約14万人です。(団体バスを利用して来られた)国別では、圧倒的に台湾からのお客様が多いです。次いで香港、韓国、中国の順となります。今年は中国からの入客数が延びており、2014年12月の時点で、対前年比246%となっています。さきほど申し上げました約14万人という数字には、レンタカーやバス等を利用するFIT(個人客)が含まれていませんので、実際はもう少し多くなります。お客様を全体構成でみると7割が地元、2割が県外、あとの1割が海外からのお客様ですが、LAOXのようにお店によっては外国人観光客の売り上げがほとんどを占めている店舗もあります。
高良チーフとマハエ
(マハエ)国別の特徴があれば教えてください。
(高良さん)103店舗中98店舗が銀聯カードを導入していますが、中国の方々の購買力は高いです。中国の地域にもよりますが、単価が高いものを購入される方々が多いのも特徴的です。香港のお客様は、質の良いものを求めています。台湾の方々は、(県内)地元客と共通していて必要なものだけを購入する傾向があります。
(マハエ)インフォメーションを始めとする店舗スタッフの対応言語はいかがでしょうか。
(高良さん)インフォメーションには、中国語・英語・韓国語が対応可能なスタッフがおります。店舗については、店ごとで異なりますが、中国語や英語が対応可能なスタッフもおります。また、全スタッフの語学力向上を目的として、講師派遣事業*を活用していますが、一般的な英会話ではなく実際に店舗で繰り広げられている英会話を習得し、より実践的になるよう努めています。スタッフが臆さずお客様と話すことで、お客様に安心感を与えることが大切だと思います。
あらゆるニーズに対応するインフォメーションデスク
(マハエ)外国人観光客受入に伴うエピソードがあれば教えてください。
(高良さん)エピソードになるか分かりませんが、実は銀聯カードを沖縄で最初に取り入れたのが弊社でした。7年前に遡りますが、現場(インフォメーション)で銀聯カードの問い合わせが増えてきたこと、営業では、マーケティングを通して、銀聯カード導入の必要性を感じたことから導入に至りました。「お客様のニーズにひとつずつ、答えていく」ことが大事だと思います。また、弊社では外国人観光客の受入にあたり、パンフレットの多言語化(英語・簡体・繁体・韓国語・タイ語・マレー語・ロシア語)を一まとめにして見やすくイラスト化しています。ショッピングの場合、ブランドロゴは世界共通ですので、店舗マップには、ロゴを採用し、絵文字などの視覚記号によりピクトグラム化しています。お客様がインフォメーションに立ち寄らず、困った時に瞬時に理解できて快適にショッピングを楽しめるよう「お客様目線」で常に考えています。
銀聯カードの案内ポスター
多言語表記が1つにまとまった分かりやすいパンフレット
(マハエ)外国人観光客誘致活動について教えてください。
(高良さん)OCVBを通して海外で開催される旅行博には可能な限り参加しています。きっかけは、数年前に県の海外事務所からの報告書やアンケート結果で、沖縄が単に「海と空が良かった。」というリゾート地として捉えられていることに不満を感じたところから始まっています。沖縄には沖縄でしか味わえない多彩な物産、観光施設、伝統工芸品などがありますので、事業者自らの「気づき」で海外のお客様へ発信していかなければいけないと感じました。
(マハエ)昨年10月に始まった免税対象品目拡大への対応についてお聞かせください。
(高良さん)あしびなーでは、免税店に登録するかどうか、ならびに手続きに係る書類や梱包などの対応も各店舗に任せておりますが、103店舗中55店舗が現在「TAX FREE」対象のお店となっています。クルーズ船で来沖された中国、香港、台湾からのお客様が大量にMADE IN JAPANの炊飯器を購入されたり、数十万円するブランドの時計や南部鉄器が売れたりすることも増えています。私も驚きましたが、おひとりで100万円のお買い物をされたお客様も最近いらっしゃいました。昨年10月に免税対象として拡大された消耗品の免税案内に関しましても、レジ前に各免税条件のPOPを設置したり、パスポートリーダーとPOSレジを連携させたシステムを活用したり、外国語対応できるスタッフを雇用したり、よりスムーズな免税対応が行えるよう、それぞれの店舗ごとに日々サービスの改善が行われています。また、消耗品の免税金額条件が税抜5,001円以上と、これまでの条件より緩和されたこともあってか、様々な種類のお菓子の詰め合わせの販売等も好調となっています。家電につきましては、消費電力が海外向けの商品もあり、日本人のお客様は購入することはできませんが、その他の商品につきましては、海外、日本のお客様のどなたでもご購入いただける体制を常に整えております。
(マハエ)最後に沖縄観光に関する提言があれば、お願いいたします。
(高良さん)免税制度に関することですが、免税店に登録したい事業者さんが多い中、免税販売システムの導入や、手続きに係るスタッフの雇用等、経費の問題を考えてあきらめている方々もいらっしゃると思います。沖縄県やOCVBが舵取りをして、免税システム導入に係る補助や支援などを考えていただけたら助かります。また、たくさんの事業者さんにOCVBの多様な支援事業を活用して頂き、沖縄への外国人観光客誘致につなげてほしいと思います。
外国人観光客による売り上げがほとんどのLAOX
無料Wi-Fiスポット
■取材後記
今回の取材で得たキーワードは「お客様目線」と「気づき」でした。海外旅行に行った際に自国の言葉で表記されたメニューやパンフレット等があれば安心しますよね。アウトレットモールあしびなーさんでは、このように自らが外国人観光客になったと仮定して、どのようにしたら快適に買い物ができ、安心感を与えることができるか常にお客様目線に立ち問題解決を図っています。2015年4月の外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充に向けても、常に受入体制を改善していかれることで、海外からのお客様も国内のお客様同様に、最新のサービスを受けることができるでしょう。また自社の「気づき」によってアクションを起こすことにより、外国人観光客誘致にご尽力されていると感じました。「お客様目線」と自社の「気づき」によりプラスの相乗効果が得られることは間違いないと感じました。高良さんどうもありがとうございました。
*講師派遣事業・・・「平成26年度 世界に通用する観光人材育成事業」のひとつとして、(国際観光地としての沖縄の評価の向上を目的とし)県内観光関連企業・団体が行う人材育成研修や語学研修の取り組みを支援する事業。
http://www.visitokinawa.jp/oin/sites/default/files/download_file/kousi.gogakuleader.pdf
*免税対象項目拡大及び消費税免税制度については、下記、URLを参照ください。
http://www.mlit.go.jp/common/001026664.pdf
https://taxfree.jp/外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充が決定!
https://taxfree.jp/